「見えないもの」は、無いことになってしまう ―― 身近な問いから、イノベーションの正体を考えたコラムです。
「空気は何色ですか」と問われれば、無色、あるいは無色透明と答える人が多いと思います。 では、「なぜ、空気は無色なのか」と質問されたら、どうでしょう。 即答できる人は、かなり少ないはずです。
Colorそもそも「色」とは何か
似た問題に「海は何色か」があります。写真を趣味にしている人ならよく話題にすることですが、 青い海といっても、海水そのものが青いわけではありません。あの青は青空の映り込みで、 曇っていれば海はグレーや黒になります。写真の世界では「海に固有の色はない」と言われます。
色とは、光の三原色 ―― レッド・グリーン・ブルー(RGB)の組み合わせとして見ているものです。 光は波でもあるので、色によって波長が長かったり短かったりします。 いちばん長いのが赤で、その外側、赤よりさらに長い波長が赤外線(IR)。 赤外線通信の「IR」です。反対にいちばん短いのが紫で、その外側が紫外線(UV)。 UVケアの「UV」です。
人間の目はこの三原色を感知し、脳が色として認識しています。 ただし、感知できる範囲は生き物によって違います。 たとえばモンシロチョウは紫外線が見えるようで、人間が見ればオスもメスも白い羽ですが、 モンシロチョウ同士には、はっきり違いが分かるそうです。
空気が無色なのは、物理的に無色なのではなく、人間の目にとって無色というだけのことです。
Scale持っている「ものさし」の数
別の見方をすれば、実際に存在していても、それを見たり感知したりできなければ、 「存在しない」ことになってしまう。 これは、ものごとの尺度 ―― ものさしの問題です。 どれだけの種類のものさしを持っているか。そして、感知できなくても その存在を想像できるかどうか。ここで判断力に大きな差がつきます。
やっかいなのは、人と違うものさしを持っていても、その存在を知られていなければ、 非常識だと受け取られかねない、という点です。 モンシロチョウのオスとメスを見分けられる人がいても、 ふつうの人には紫外線が見えないので、何を根拠にそう言っているのか、理解されません。
Innovationイノベーションのジレンマ
イノベーションも、既存のものさしより長いもので測ったとき、あるいは目盛の細かいもので見たときに、 初めて分かることだと思います。 つまりイノベーターは、他の人の認知を超えたものさしを持っている。 そして、それを理解できるのは、さらに広い範囲のものさしを持っている人だけになってしまう ―― これではイノベーションのジレンマです。
Attitudeでは、どうしたらよいか
まずは、自分の知らないこと・理解できないことに出会っても、 「これは、ものさしを広げるチャンスかもしれない」と好奇心を持つこと。 そして、なんとか理解しようとする探究心です。
理解を超えたことや、非常識に思えることに出くわすと、私たちはつい無視したり、拒絶したりしがちです。 けれど、好奇心と探究心を手放さなければ、その先に新しい世界が見えてきます。 それが、イノベーションの入り口です。
WRICORDEE の視点
新しい着想は、いわば「ものさしを増やす」ことから生まれます。 見る角度を意識して変えると、これまで「無色」に見えていた課題に、色がついて見えてくる。 WRICORDEE は、その「見方をずらす」プロセスの伴走を大切にしています。
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